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ひこうき雲のでき方と環境影響


真っ青な空に、一筋の飛行機雲。
私は、大好きです。
私の通う大学は、京都の北の方にあるのですが、春から夏にかけては飛行機雲が良く見えます。
あっちで1本、こっちに2本と、あちこちに見えます。
結構すぐに飛行機雲は消え入ってしまいますが、そうでないところもあるようです。


飛行機雲のでき方

 飛行機雲のでき方には、2種類ありますが、とりあえず、空気の温度がマイナス30℃以下でなければできません。
@飛行機のエンジンから出る排気ガスが原因のもの。
排気ガスの中には、水蒸気やチリがあります。
 水蒸気は上空1万メートルのマイナス50℃の空気で瞬時に冷やされて雲となります。
 冬の寒い日に息を吐くと、息が白くなりますよね。
 それとおなじことです。
 またチリは、水や氷の粒の核となり、さらに雲を作ります。
A飛行機の高速移動が原因のもの。
飛行機は上空の空気を引き裂いて飛行しますが、その時にその場所の気圧が下がります。
 気圧が下がると、気温も下がるので、そこでまた空気が冷えて、雲ができます。

 @とAが重なるとさらに幅の広い飛行機雲ができます。

飛行機雲の環境への影響とは?

 普通の雲、つまり私たちが日常的に見る自然発生の雲は、太陽光線を反射して地表を冷やすといわれています。
逆に飛行機雲は、地表から発散する熱を閉じ込めるという、温室効果のある雲といわれていました。
ですが、これは推測の域を出ていませんでした。
なぜなら、飛行機雲のある状態とない状態、つまり飛行機が飛んでいる状態と飛んでいない状態で気候への影響を調べることは、無理なことだったからです。
というのは、研究のために全ての飛行を取りやめるのは、現代では不可能なことだからです。

 ですが、そのチャンスが2001年9月にやってきました。
米国同時多発テロで、FAA(アメリカ連邦航空局)がアメリカ中の民間航空機に飛行禁止令を出しました。
この飛行禁止令は11日から13日までの3日間出され、順次、運航が再開されました。
ウィスコンシン大の研究グループは、飛行機の飛ばなかった3日間と、その前後各3日間の全米約4000カ所の気温を調べたのです。


   前3日間 11〜14日 後3日間
飛行機 飛んだ 飛ばない 飛んだ
最高・最低気温の差の平年値との差 -0.2℃ +1.1℃ -0.9度

 この結果を見ると、航空機の飛行により、昼と夜の気温の差が縮まっていることが分かりますね。

 また、この大学のデビッド・J・トラビス博士は、“ふだん発生する飛行機雲の総面積がとくに広い地域で、他よりはるかに気温の変動幅が大きく変化したことがわかった”と言われました。

 土地の特徴と、地域による航空機の交通量の差により、アメリカでは中西部と北東部、太平洋岸北西部の上空が、飛行機雲が特に多い場所となっています。
トラビス博士のチームは、このような飛行機雲の多い地域では9月11日から13日の間、昼夜の気温差がさらに拡大したことを発見されました。
中西部と北東部では、昼夜の気温差が全米平均の2倍以上にあたる3℃も広がるという「飛行機雲効果」が見られました。

 この3日間の結果で、最初に書いた気候への影響はほぼも違いなく証明されました。



 しかし、飛行機雲の影響はそれだけではありません。
地球の大気の状態により、やはり飛行機雲ができやすく残りやすい場所というのがあります。
ここからの資料はEPAアメリカ連邦環境省からのものです。(写真2枚も)

 
 左の写真は、西ヨーロッパで、雲がほとんどない日に、飛行機雲が長時間残った時の写真です。
このように気流の関係から、西ヨーロッパではこのようなことが良くあるようです。









 右の写真は衛星から撮った中央ヨーロッパの写真です。
自然な雲がほとんどないのに、飛行機雲が数多く残っているのが良く分かる写真です。
ここでは、上空で飛行機がひっきりなしに飛んでいる状態(いわゆる混雑)で、このように観察することができます。
1996・97年の中央ヨーロッパでは、平均0.5%の空が飛行雲に覆われていました。

 飛行機雲があまりにできすぎると、日照量が減り、農作物への影響が出てきます。
日本では、それほど長く飛行機雲が残ることがないので、ここまでの影響はないと思います。



Last Up Date Dec. 15, 2003


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